
読書会の課題として「百年の孤独」を再読した。
前に読んだのは20年近く前か、細かいことは全然覚えてなくて、鮮烈なイメージだけ記憶にあったけど、再読するとそのイメージも自分の中でまた変わってきてたと思う。再読でもやはり10日くらいかかったなー。前半は30ページくらいでなんかお腹いっぱいになって進まなかったけど、後半半分は2日半くらいでわりと一気に読んだ。
この本の孤独とはなんのことだろう。
長い物語を読んだあとの感慨には諸行無常盛者必衰みたいなものがあるけど、そういうのとも違う。
孤独とは、圧倒的な、善悪のなさのことなのかな。
善悪のない語りは叙事詩や神話っぽいけど、叙事詩は客観的な語りではあってもそもそも英雄や何か大きな善悪について語っていることが多いから、やっぱり神話か。
カフカやカミュのような不条理を書く物語というのもあるけど、不条理というのもまた元々の人間の持つ善悪から外れたところに、そのズレとして発生するもので、善悪の基準自体は存在している。でも百年の孤独はそのような不条理というより、人間より前から存在していた何か嵐のような時の力や、その中に配置されてるだけみたいな人の時間をこまごまと書いてて、ある一族の歴史を書きながら人間を超越した物語なのが、やっぱり神話っぽいなぁと思う。
人間のことをこまごまと描きながら、その一人一人の誰にも共感も感情移入もさせないので、誰かが死んでもちっとも悲しくない。人間は神話の中の象徴や現象のようなものでしかなく、だから物語の中にも外にも善悪はない。
それこそが孤独というものなのかな、と思った。
それ以外の、人間としての孤独や盛者必衰的な孤独?みたいなのは感じなかったし、諸行無常を読み取れはしてもやはりそういう孤独の感慨は持たなかった。
AIとそういう感想を話しいたら、「個別の人間への共感を拒む突き放した神話性」を持つ作品として3冊の本を勧められた。図書館にあったら読もうかな。
AIは知識の量においては広大であるので、全く知らない本を勧めてくれたりするのはいいね。
「ハザール事典」ミロラド・パヴィチ
「最後にして最初の人類」オラフ・ステープルドン
「わが西遊記」中島敦
そういえば、予言的な全てのことがすでに羊皮紙に書かれている、つまり全てのことがあらかじめ決まっているという点で思い出したのは映画「メッセージ」(原作はテッド・チャン「あなたの人生の物語」)、あれも円環のイメージが散りばめられ、映画自体が円環になっている作品だったな。個人のレベルから一族としての大きな運命の流れの中でも、何度も繰り返される円環構造のようなものは、異星人が使う時間を超越した言語世界を思い出させました。ヘプタポッドの時間を超越している言語は、メルキアデスの羊皮紙と同じようなもの。
物語を外側からメタな視点で見ると、それは美しく閉じた円環だけど、個別の出来事はまさにメチャクチャなカオス、無秩序。それが一冊の物語になると、一族の運命の円環は美しい円になっている。
そして読書会に行ったのですが、この読書会は大体10人以上の参加者がそれぞれ語りたいだけ語るタイプの、長いと4時間くらい続く体力のいる会で、理解の深い人の話をたくさん聞くのは中々面白い。