
聞こえすぎる
涼しくて
雨の音が聞こえすぎる。
涼しいと
何でもよく聞こえる。
聞こえすぎる。
眠れない。
雨の音が止んで
虫の声を数える。
羊の代わりに
1つ2つ3つ4つ、
案外たくさんの種類の声。
線路向かいの3階の窓
でも、
静かに
もっと静かにしていると
月の光の音も聴こえてくる。
濡れた道の車のタイヤの音も
仄かに聞こえる電車のアナウンスも
iPhoneの文字入力のコツコツいう音も
月の光の音を飾って
きれいな音しか聴こえない。
真っ暗で
静かで
涼しくて
虫が鳴いてると
こんなに落ち着いて
悲しくもさびしくもなく
よく聞こえてよく考えられるのに
1年のほとんども
1日のほとんども大抵
明るすぎるか
暑すぎるか
寒すぎるか
うるさすぎるか。
聞こえすぎる夜は少ない。
そんな夜が
体温より暑い夏の終わりに
やっとまた戻ってきて、
これのためにある暑さなら
まあ仕方ないか、と
夏を許す。
許して暑さの記憶と一緒に解放してやる。